イマカラです。
毎年12月は、会社員の方にとって年末調整の季節になりますね。
基礎控除、扶養控除、保険料控除など、1年間で支払ったものを申告することで、
税金が調整される仕組みをご存じの方も多いでしょう。
しかし、フリーランスの場合は、会社員と異なり、年末調整という仕組みはありません。
その代わり、確定申告によって1年間の収入や経費を自ら計算し、
税金を申告・納付する必要があります。
「確定申告って何?どうやるの?」と疑問を感じている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、そんな方に向けて、わかりやすく確定申告の基本をお伝えしていきます。
目次
年末調整と確定申告の違いについて
会社員とフリーランスでは税金の申告方法が異なることをご存じですか?
年末調整と確定申告はどちらも1年間の所得に基づいて税金を計算するための仕組みですが、対象者や手続き内容が大きく異なります。それぞれの特徴を理解しておくことで、適切に手続きを進められるようになります。ここでは、年末調整と確定申告の違いについて詳しく説明します。
項目 | 年末調整 | 確定申告 |
対象者 | 会社員 | フリーランス、個人事業主、 副業収入がある会社員 |
手続きの主体 | 会社が代行 | 自分、税理士 |
目的 | 年間の給与所得税の過不足を調整 | 所得全体の税金を確定し 申告・納付 |
計算対象 | 給与所得 | すべての所得(事業所得、給与所得、副業収入など) |
提出書類 | 扶養控除申告書、保険料控除証明書、住宅ローン控除書類など | 収支内訳書や青色申告決算書、経費証明書、控除証明書など |
手続きの時期 | 毎年12月(年末) | 毎年2月16日~3月15日 |
手続きの負担 | 会社が行うため比較的簡単 | 自分で行うため手間がかかるが節税の余地が大きい |
主な対象控除 | 基礎控除、扶養控除、 保険料控除など | 青色申告控除、経費控除など |
義務の有無 | 原則、会社員は必須 | 該当者のみ必須(フリーランスや副業収入者など) |
年末調整とは(対象者:会社員が対象)
年末調整というのは、会社が社員に代わって所得税や住民税の計算を行い、年間で支払う税金を正しく調整する仕組みです。通常、給与から毎月引かれる所得税は概算で計算されているため、年末調整を通じて過不足分を精算します。
そのため、必要な書類を会社に提出することで、
払いすぎた税金が精算されて戻ってくる場合があります。
確定申告とは?(フリーランスや個人事業主が対象)
確定申告というのは、会社員における年末調整のような「税金調整」を自分で行う手続きです。フリーランスや副業収入がある方は、1年間の収入と経費を計算し、税金を申告・納付します。
手続き期間は原則として、毎年2月16日から3月15日まで。
これを過ぎるとペナルティが発生することもあるため、期限を守ることが重要です。
確定申告の基本的な計算式
個人事業主が確定申告を行う際には、収入や経費、控除を基に所得税額を計算します。
課税所得金額の計算
課税所得金額 = 売上(収入) – 必要経費 – 所得控除額
所得税額の計算
所得税額 = 課税所得金額 × 税率 – 控除額
復興特別所得税の計算
復興特別所得税額 = 所得税額 × 2.1%
最終的な納付額の計算
納付税額 = 所得税額 + 復興特別所得税額 – 源泉徴収額
計算の具体例
- 売上(収入):500万円
- 必要経費:200万円
- 所得控除額(基礎控除など):48万円
課税所得金額の計算:
(収入)500万円 – (必要経費)200万円 – (所得控除額)48万円 = 252万円
所得税額の計算(税率10%、控除額97,500円)
所得税額 = 252万円 × 10% – 97,500円 = 154,500円
復興特別所得税額の計算
復興特別所得税額 = 154,500円 × 2.1% = 3,245円
最終的な納付税額の計算(源泉徴収額が0円の場合)
納付税額 = 154,500円 + 3,245円 = 157,745円
個人事業主が確定申告で報告すべき収入の種類
1年間に得たすべての収入を正確に報告する必要があります。
確定申告で報告すべき主な収入の種類について詳しく説明します。
収入の種類 | 内容 |
事業所得 | 事業活動から得られる収入 受け取る報酬など |
不動産所得 | 土地や建物の賃貸による収入 所有するアパートの家賃収入など |
配当所得 | 株式や投資信託からの配当金や分配金 保有する株式から受け取る配当金など |
利子所得 | 預貯金や公社債の利子収入 銀行預金の利息など |
譲渡所得 | 資産の売却による所得 土地や建物、株式などを売却して得た利益 |
一時所得 | 一時的に得られる所得 生命保険の満期金など |
雑所得 | 上記のいずれにも該当しない所得 副業による収入や年金などが該当します。 |
個人事業主が確定申告で経費にできるもの
経費を適切に計上することで、課税所得を減らし、税負担を軽減することができます。
経費の種類 | 内容 |
消耗品費 | 文房具やプリンター用紙など、 業務で使用する消耗品の購入費用 |
通信費 | 業務用の電話代やインターネット料金 |
交通費 | 業務上の移動にかかる電車やバス運賃、タクシー代 |
接待交際費 | 取引先との会食や贈答品の費用 |
地代家賃 | 事務所や店舗の賃借料 |
水道光熱費 | 事業用の電気・ガス・水道料金 |
広告宣伝費 | 広告掲載や宣伝活動にかかる費用 |
研修費 | 業務に関連するセミナーや研修の参加費用 |
旅費交通費 | 業務上の出張にかかる宿泊費や交通費 |
租税公課 | 事業に関連する税金や公的な負担金 |
個人事業主が確定申告で申告できる所得控除
確定申告では、所得から差し引ける「所得控除」を適用することで、税負担を軽減できます。
所得控除の種類 | 内容 |
基礎控除 | すべての納税者が受けられる控除 で、所得金額に応じて控除額※1 が決まる |
青色申告特別控除 | 青色申告を行うことで、 最大65万円の控除が受けられる |
社会保険料控除 | 国民年金や国民健康保険など、 自身で支払った社会保険料が対象 |
生命保険料控除 | 生命保険や介護医療保険、 個人年金保険の保険料が控除対象 |
地震保険料控除 | 地震保険の保険料が控除の対象 |
小規模企業共済等掛金控除 | 小規模企業共済や確定拠出年金 (個人型)の掛金が控除できる |
扶養控除 | 生計を一にする親族を扶養している場合に適用 |
配偶者控除・配偶者特別控除 | 配偶者の所得が一定以下の場合に適用 |
医療費控除 | 年間の医療費が一定額を超えた場合に適用 |
寄附金控除 | ふるさと納税など、特定の団体への寄附金が対象 |
- 合計所得金額が2,400万円以下の場合|控除額は48万円
- 合計所得金額が2,400万円を超え、2,450万円以下の場合|控除額は32万円
- 合計所得金額が2,450万円を超え、2,500万円以下の場合|控除額は16万円
- 合計所得金額が2,500万円を超える場合:控除は適用されません
個人事業主が確定申告で適用する所得税の税率
個人事業主が確定申告で適用する所得税の税率は、課税所得金額に応じて定められています。
課税所得金額(円) | 税率(%) | 控除額(円) |
1,000円 ~ 1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円 ~ 3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 ~ 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 ~ 8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 ~ 17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 ~ 39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
副業の所得が20万円以下なら確定申告は不要?
副業をしている会社員の方で、「副業の所得が20万円以下の場合、確定申告をしなくても良い」というルールを聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
確定申告が不要になる条件として「副業の所得が20万円以下であること」があります。
ここで重要なのは、所得とは収入から必要経費を差し引いた金額を指す点です。
例えば
- 副業収入:50万円
- 必要経費:35万円
→ 所得:50万円 – 35万円 = 15万円
この場合、所得が20万円以下のため、確定申告は不要です。
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まとめ
フリーランスや副業をしている方にとって、確定申告は重要な手続きです。
収入、必要経費、所得控除を正しく計算し、期限内に申告・納付を行いましょう。
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