【2025年最新版】個人事業主の引越し手続き完全ガイド|税務・社会保険・開業届の変更まで全解説

こんにちは。IMACARA (イマカラ)です。

個人事業主として働いていると、賃貸の更新時期やライフスタイルの変化をきっかけに、住まいを引越すというケースも多いのではないでしょうか。

一見すると、単なる生活の引越しに思えるかもしれませんが、
実は、仕事にもさまざまな関わる手続きが必要になるため注意が必要です

また、引越しに伴う各手続きを怠ると、確定申告や納税通知書の受け取りに支障が出たり、
行政からの重要な書類が届かなくなるなど、思わぬトラブルにつながることもあります。

本記事では、「個人事業主の引越しに伴うすべての手続き」を分かりやすく解説します。

手続きの抜け漏れなく、安心して新しい環境で仕事をスタートできます!!

行政|個人事業主の引越し手続き

引越し先が、同一市区町村内、または別の市区町村かによって提出書類が変わります。
転出・転入・転居の届け出は、原則14日以内
同時に、国民健康保険・国民年金の変更も必要になります。

① 転出届(引越し前の市区町村で行う)

引越し前に住んでいた市区町村役所で「転出届」を提出。
提出期限は、引越し予定日の14日前から、引越し後14日以内までが目安。
提出すると「転出証明書」が発行され、これを新しい市区町村での転入時に提出します。

自治体によっては、マイナンバーカードを利用することで、
「転出証明書」を発行せずに、転出届の手続きができる場合があります。

② 転入届(引越し後の市区町村で行う)

新しく住む市区町村の役所で「転入届」を提出。
引越し後14日以内が提出期限です。

必要書類

転出証明書(前住所地で取得)
マイナンバーカード
本人確認書類(運転免許証など)
印鑑(自治体によっては不要な場合もあります)

転入手続きが完了すると、新住所が住民票に反映されます。
その後、運転免許証の住所変更など、各種手続きで住民票が必要となる場合があります。
そのため、転入手続きと同時に住民票を取得しておくと、再度役所に足を運ぶ手間が省けて効率的です。

また、印鑑登録を行っている方は、引越し後に新住所での印鑑登録が必要です。
旧住所で発行された印鑑証明書は無効となるため、新たに印鑑登録を行い、
新住所が記載された印鑑証明書を取得してください。

転居届(同一市区町村内の引越しの場合)

個人事業主が同一市区町村内で引越しをする場合、以下の手続きが必要です。

同一市区町村内の引越しでは、転出届や転入届の提出は不要で、
転居届のみで手続きが完了します。

① 転居届の提出
提出先:引越し先の市区町村役場
提出期限:引越し日から14日以内

必要書類
・本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)
・健康保険証(国民健康保険加入者の場合)

税務署|個人事業主の引越し手続き

同一市区町村内での引越しで、納税地が変更されない場合、税務署への届出は原則不要。
しかし、事業所や納税地が変わる場合は、税務署への手続きが必要になります。

開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)の再提出が必要なケース

以下のような場合には、開業届の再提出が求められます。

  • 事業所の移転:事業所の所在地が変更になった場合
  • 納税地の変更:自宅兼事業所としていた場合に引越しをして、納税地が変わる場合

これらの変更があった場合、移転日から1ヶ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を新しい所轄の税務署に提出する必要があります。

開業届の再提出方法
開業届の再提出は、以下の方法で行うことができます。

  • e-Taxを利用する:オンラインで手続きを行う方法
  • 書面で提出する:税務署の窓口に持参するか、郵送で提出する方法

書面で提出する場合は、本人確認書類の提示または写しの添付が必要です。

開業届の再提出が不要なケース

以下のような場合には、開業届の再提出は不要です。

  • 自宅のみの引越し:事業所の所在地が変わらず、自宅のみが移転した場合
  • 納税地が変更されない場合:引越しによっても納税地が変わらない場合

ただし、納税地が変更になる場合には、「所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書」の提出が必要となります。

納税地の異動届 ( 所得税・消費税の納税地の異動又は変更に関する届出書 )

提出先:新住所地を管轄する税務署
提出期限:提出義務はありませんが、なるべく早めの提出が推奨されます。

引越しにより管轄税務署が変わった場合、
税務署からの通知や申告書の送付先を新住所に変更するため

提出方法:税務署に直接提出 or e-Taxでオンライン提出も可能

この届出を出さなくても、確定申告書に新住所を記入すれば、翌年以降は自動的に反映されます。ただ、途中で通知を受け取りたい場合は提出がおすすめです。

社会保険・年金|個人事業主の引越し手続き

引越しをすると、国民健康保険や国民年金の住所変更手続きを必ず行う必要があります。これらの手続きは提出期限が短く、遅れると保険証の発行遅延や給付の遅れにつながるため、スムーズな手続きを心がけましょう。

国民健康保険の住所変更

個人事業主(自営業者)が引越しをした際、
忘れてはいけないのが国民健康保険の住所変更手続きです。

国民健康保険(国保)は、市区町村ごとに管理されているため、
引越し=市区町村が変わった場合は「資格喪失」→「新規加入」という流れになります。

逆に、同じ市区町村内での引越しであれば、「住所変更届」のみで手続きが完了します。

以下では、引越し先のパターン別に、必要な手続きを解説します。

【パターン1】市区町村が変わる場合(例:福岡市 → 久留米市)

手続きの流れ
1. 旧住所の市区町村役場で「国民健康保険の資格喪失届」を提出
2. 新住所の市区町村役場で「国民健康保険の加入手続き」を行う

手続きに必要なもの

  • 本人確認書類(マイナンバーカードや運転免許証など)
  • 印鑑(自治体によって不要な場合あり)
  • マイナンバーが分かるもの(通知カード、マイナンバーカードなど)
  • 転出証明書(※新住所での加入時に必要)

手続きの期限
・転出:14日以内
・ 転入:転入後14日以内

【パターン2】同一市区町村内での引越し(例:大阪市内で区をまたぐ引越し)

手続きの流れ
1. 市区町村役場またはオンラインで「住所変更届(転居届)」を提出
2. 国民健康保険のデータが自動で更新される

手続きに必要なもの

  • 本人確認書類
  • 国民健康保険証

手続きの期限
転居後14日以内

国民年金の住所変更

個人事業主(自営業者)が引越しをした際、忘れてはいけない大切な手続きの一つが国民年金の住所変更です。国民年金は全国共通の制度ですが、住民票のある市区町村を通じて管理されているため、引越しをしたら速やかに住所変更の届け出が必要です。

国民年金の住所変更はどこで手続きする?

原則は「市区町村の役所」でOK!
個人事業主の方が引越しをした場合、
住民票の住所変更(転入・転居届)を出すと、自動的に国民年金の住所も変更されます。
したがって、基本的には別途国民年金の住所変更届を出す必要はありません。

【要注意】年金手帳や通知書の送付先を別にしていた場合
過去に「住所とは別の場所に年金関係の郵送物を送るように設定していた方」は、
年金事務所または年金ダイヤルに連絡して変更届を提出する必要があります。

金融機関・取引先への通知

引越し後は、事業用の銀行口座・クレジットカード会社・取引先・顧客などへの住所変更通知を速やかに行うことが大切です。特に、請求書の送付先や振込口座に関わる情報が古いままだと、入金トラブルや信用低下につながるリスクがあります。

金融機関(銀行・信用金庫など)
  • 対象:事業用口座を開設している銀行、ネットバンク、信用金庫など

手続き内容

  • 登録住所の変更(口座名義住所)
  • 通帳・キャッシュカードの送付先変更
  • 法人口座や屋号付き口座の場合は追加書類が必要なことも

提出方法

  • 店舗窓口/郵送/インターネットバンキング(金融機関による)
  • ット銀行(楽天銀行・住信SBIなど)はオンライン手続きが主流

必要書類

  • 本人確認書類(運転免許証など)
  • 新住所が確認できる書類(住民票、公共料金の請求書など)
  • 法人/屋号付き口座:開業届控え、代表者の印鑑証明書など
取引先・顧客・仕入先への通知
  • 対象:請求書や納品書を送ってくる発注元、商品や資材を納品してくれる仕入れ先
    定期的なやり取りがある顧客や外注パートナー

通知の方法

  • 住所変更の案内状(郵送 or メール)
  • 電話連絡(重要な取引先には直接)
  • Zoomや対面の際に名刺で新住所を共有するは追加書類が必要なことも

通知に記載すべき内容

  • 新住所
  • 変更日(いつから有効か)
  • 電話番号・メールなどに変更があれば一緒に記載
  • 挨拶とお礼のひと言(信頼維持につながる)

請求書や契約書の記載住所が変わるため、すぐに相手側の登録情報も更新してもらう。BtoB取引の場合、納品先や契約書の変更手続きが別途必要なこともあります。

名刺・請求書・封筒・チラシなどの事業用印刷物
  • 対象:名刺・請求書・納品書・見積書・領収書、封筒・DM・パンフレット・チラシなど

対応方法

  • 印刷物をすべて新住所で再作成
  • 在庫が多い場合は、訂正シールやスタンプで対応
  • PDFで送る書類も住所を修正して保存

郵便・ライフラインの変更

引越し後もスムーズに事業を継続するためには、郵便物の転送やライフライン(電気・ガス・水道など)の契約変更手続きも忘れずに行う必要があります。

これらは一見「生活インフラ」と思われがちですが、個人事業主にとっては重要な書類や通知が確実に届くかどうか、業務設備がすぐに使えるかどうかに直結する、大切な業務インフラです。

郵便局での転居・転送届(旧住所あての郵便物を新住所に届ける)

提出方法

  • 転送期間:提出日から1年間無料で新住所に転送されます
    ※延長したい場合は再手続きが必要(更新1回=+1年)

→ 必要情報
氏名・旧住所・新住所・転送開始日、本人確認(オンラインではマイナンバー確認など)

電気・ガス・水道の変更手続き

電気の契約切替

  • 旧住所:契約解除(停止)の申請が必要
  • 新住所:契約開始の申し込み
  • 申込先:利用している電力会社のカスタマーセンターまたはWeb
    (例:東京電力、関西電力、Looopでんき、楽天でんき など)
  • 提出タイミング引越しの1週間前までが目安
    直前だと、ブレーカーが落ちたまま使えないこともある

→ 必要情報
契約者名・供給地点番号(検針票に記載)、引越し日・新旧住所・連絡先・支払い方法

ガスの契約切替

  • 旧住所:停止連絡(立ち会いが必要な場合あり)
  • 新住所:開栓(ほぼ必ず立ち会いが必要)
  • 申込先:都市ガス会社 or プロパンガス会社(地域ごとに異なる)

→ 必要情報
住所・氏名・契約番号・引越し日、支払い方法・立ち会い希望日

水道の契約切替

  • 旧住所:使用停止の申し込み
  • 新住所:使用開始の申し込み
  • 申込先:各自治体の水道局(例:東京都水道局、大阪市水道局など)
  • 提出方法:各自治体のWebサイト or 電話窓口

→ 必要情報
水道番号・氏名・住所・使用開始/終了日

黒ナンバー車両の住所変更手続き

必要書類
  • 貨物軽自動車運送事業経営変更等届出書
  • 「事業用自動車等連絡書」
  • 車検証のコピー

同一都道府県内での住所変更

手続きの流れ

管轄の運輸支局に上記書類を提出し、連絡書の交付を受けます。

手続きの流れ

軽自動車検査協会で住所変更手続きを行います。

他都道府県への住所変更

手続きの流れ

旧住所地を管轄する運輸支局で「廃止届出」を提出します。

手続きの流れ

新住所地を管轄する運輸支局で「新規開業届出」を提出します。

手続きの流れ

軽自動車検査協会で新しいナンバープレートの交付を受けます。

ホームページ・名刺など事業媒体の更新

引越し後は、自社のあらゆる媒体に記載された住所情報をすみやかに更新することがとても重要です。
古い情報のままにしておくと、顧客が旧住所に訪れてしまったり、検索結果に誤情報が表示されるなど、信頼性や集客に悪影響を与えます。

とくに店舗・サロン・事務所など実店舗型の事業をしている方は、GoogleマップやGoogleビジネスプロフィールの情報更新が最優先事項です。

自社ホームページ・ブログの住所更新
  • 対象:ホームページの「会社概要」「アクセス」「お問い合わせ」「フッター」など

作業内容

  • 表示住所の修正(旧住所が記載されていないか複数ページを確認)
  • 地図情報(Googleマップ埋め込みなど)の再設定
  • Schema.orgなど構造化データに含まれる住所も見直す(SEO対策)
Googleビジネスプロフィール(旧:Googleマイビジネス)
  • 対象:実店舗や訪問対応を行う事業者全般(サロン、教室、飲食店など)

作業手順

  • Googleビジネスプロフィールにログイン
  • 「ビジネス情報の編集」→「所在地」から住所を更新
  • 必要に応じてピン位置を再設定
  • 営業エリア、営業時間、連絡先なども再確認・更新
SNSアカウントのプロフィール情報
  • 対象:Instagram/X(旧Twitter)/Facebookページ/LINE公式アカウント など

更新内容

  • プロフィール欄に記載している住所、店舗情報
  • 投稿の固定ピン留めや、ハイライト、バナー画像の情報にも注意
名刺・チラシ・パンフレット・封筒など印刷物

更新が必要な媒体例

  • 名刺
  • 納品書・請求書・領収書
  • 封筒・レターヘッド
  • 会社案内・商品カタログ・チラシ・ショップカード
地図・看板・外観表示(実店舗や事務所を持つ場合)

更新が必要なもの

  • 看板・表札・建物外壁への店名表示
  • 店舗前の案内板・フロアマップ
  • 駐車場案内図など

まとめ

1. 行政手続き

  • 転出届・転入届・転居届:引越し前後の市区町村役所で14日以内に手続きが必要です。
  • 国民健康保険・国民年金の住所変更:住民票の移動と同時に手続きを行いましょう。

2. 税務署関連

  • 開業届の再提出:事業所の所在地が変わった場合、移転から1か月以内に新住所地を管轄する税務署へ提出します。
  • 納税地の異動届:提出義務はありませんが、なるべく早めの提出が推奨されます。会計ソフトは弥生株式会社

3. 社会保険・年金関連

  • 国民健康保険の住所変更:引越し後14日以内に新住所地の市区町村役所で手続きが必要です。
  • 国民年金の住所変更:引越し後14日以内に新住所地の市区町村役所または年金事務所で手続きが必要です。

4. 金融機関・取引先への通知

  • 銀行口座・クレジットカード会社への住所変更:速やかに行いましょう。
  • 取引先・顧客への通知:請求書や納品書の送付先が変わるため、早めに新住所を通知しましょう。タックスナップwebfree plus

5. 郵便・ライフラインの変更

  • 郵便局での転居・転送届:引越しの1週間前までに提出するのが理想です。

よくある質問(FAQ)

事業所の所在地が変わった場合、開業届の再提出が必要です。
移転から1か月以内に新住所地を管轄する税務署へ提出してください。

提出義務はありませんが、なるべく早めの提出が推奨されます。
確定申告書に新住所を記入すれば、翌年以降は自動的に反映されます。

新住所地の市区町村役所で、引越し後14日以内に手続きを行ってください。

引越し後、速やかに行うことが望ましいです。
特に、請求書や納品書の送付先が変わるため、早めに新住所を通知しましょう。

日本郵便の「e転居」サービスを利用して、オンラインで手続きが可能です。引越しの1週間前までに提出するのが理想です。