【小規模企業共済】個人事業主は退職金を受け取れる?!加入するメリットとデメリットをわかりやすく徹底解説

サラリーマン時代には、
勤めている企業から退職時に「退職金」を受け取れる企業もあります。

一方、個人事業主として、
個人経営となると「退職金」とは無縁だと感じている方も多いのではないでしょうか。
しかし、個人事業主でも「退職金」を受け取れる制度があります。

しかし、このような疑問が頭に浮かびませんか!?

悩んでいる
悩んでいる

⚫︎個人事業主は退職金がないから老後が不安
⚫︎個人事業主でも小規模企業共済に加入したら退職金が受け取れるの!?

⚫︎小規模企業共済に加入するメリットとデメリットを知りたい!?

このようなお悩みを本記事で解決していきましょう!

本記事では、
個人事業主の退職金となる小規模企業共済についてわかりやすく以下で解説していきます。

小規模企業共済とは?


小規模企業共済とは、
個人事業主や中小企業の経営者が積立によって退職金が受け取れる制度です。

毎月の掛金に応じて廃業や退職時の生活資金の準備、年金として給付金を受け取れます。

小規模企業共済は、政府機関である中小企業基盤整備機構が運営しており、
全国約160万人以上の経営者が加入しています。

小規模企業共済の加入資格がある経営者

小規模企業共済の加入資格は、
いずれかの条件を満たす必要があります。

小規模企業共済の加入資格
  • 建設業、製造業、運輸業、宿泊業・娯楽業、不動産業、農業などは、会社等の役員または従業員が20人以下の個人事業主
  • 商業、宿泊業・娯楽業を除くサービス業は、従業員が5人以下の個人事業主または会社等の役員
  • 組合員が20人以下の企業組合の役員及び従業員が20人以下の協業組合の役員
  • 従業員が20人以下で、主として農業の経営を行う農事組合法人の役員
  • 従業員が5人以下の弁護士法人、税理士法人等の士業法人の社員 ほか
  • 上記「1」と「2」に該当する個人事業主が営む事業の経営に携わる共同経営者(個人事業主1人につき2人まで)

小規模企業共済の加入資格がない経営者

小規模企業共済の加入資格がない
  • 配偶者等の事業専従者(共同経営者の要件を満たしていない場合)
  • 協同組合、医療法人、学校法人、宗教法人、社会福祉法人、社団法人、財団法人、NPO法人(特定非営利活動法人)等の直接営利を目的としない法人の役員等
  • アパート経営等の事業を兼業している給与所得者(法人または個人事業主と常時雇用関係にある方)
  • 学業を本業とする全日制高校生等
  • 会社等の役員とみなされる方(相談役、顧問その他実質的な経営者)であっても、商業登記簿謄本に役員登記されていない場合
  • 生命保険外務員等
  • 独立行政法人勤労者退職金共済機構が運営する「中小企業退職金共済制度」「建設業退職金共済制度」「清酒製造業退職金共済制度」「林業退職金共済制度」の被共済者である場合
次のような場合、小規模企業者として加入できる

・開業医が本業の事業所得のほかに、市町村から委託を受けて行った定期健診の報酬による給与所得がある場合

・農業者が本業の農業所得のほかに、農閑期の一時的なアルバイト収入による給与所得がある場合

・弁護士が本業の事業所得のほかに、大学の非常勤講師の収入による給与所得がある場合

小規模企業共済の月額の掛金は?


小規模企業共済の月額の掛金は、
毎月1,000円から70,000円(500円単位)で自由に設定できます。
また、経営状況に応じて掛金を増額・減額できます。

掛金の前納にも対応してます。前納すると一定割合の「前納減額金」を受け取ることができます。

納付方法
  • 個人の預金口座からの銀行振替で「月払い」「半年払い」「年払い」から選択できます。

※ 経営の業績悪化などで掛金を払うのが困難になった場合、
一時的に支払いを停止する「掛け止め」も可能です。

小規模企業共済の「共済事由」と「共済金」


小規模企業共済に、
一定期間以上加入後に個人事業を廃業したり・会社の解散などの場合、
掛金額と納付月数に応じて共済金が受け取れます。

4種類の共済事由

共済事由とは
  • 共済金や解約手当金が支払われる場合(請求する理由)のことをいいます。 小規模企業共済では、共済契約者の事業上の地位や共済金等を請求する理由により4つの共済事由に分けられ、共済事由によって共済金等の額が異なります。

小規模企業共済では、「共済事由」や「掛金の納付月数」によって
受け取れる共済金の金額が異なります。

共済事由内容
A共済事由(共済金A)個人事業の廃止、個人事業主・共同経営者の死亡
個人事業の廃業に伴う共同経営者の退任、会社の解散
B共済事由(共済金B)老齢給付(65歳以上で180ヵ月以上の掛金納付)
会社役員の疾病・負傷・65歳以上による退任、会社役員の死亡
準共済事由(準共済金)法人成り(その会社の役員に就任しなかった場合)
会社役員の退任(疾病・負傷・65歳以上・死亡・解散を除く)
解約事由(解約手当金)任意解約、12ヵ月以上の掛金滞納

共済金の返戻率

各共済事由によって受け取れる共済金の金額の割合(返戻率)が異なります。

納付年数A共済事由B共済事由準共済事由
5年103.6%102.4%100.0%
10年107.6%105.1%100.0%
15年111.7%107.8%100.0%
20年116.1%110.8%100.0%
30年120.8%117.0%100.0%

納付年数が長くなれば長くなるほど受け取れる共済金の金額(返戻率)が上がります。

例:毎月1万円掛金を15年間納付後、事業の廃止によって共済金を受け取る場合
  • このケースでは、共済事由は「A共済事由(共済金A)」となり、15年間の掛金総額は180万円。
    180万円に対して、返戻率111.7%になるので、約201万円の共済金(退職金)が受け取けとることができます。
    また、毎月1万円を15年間積み立てることで、21万円を上乗せして受け取れるということになります。
注意点

共済事由が「解約事由(解約手当金)」になった場合、納付月数が20年未満の場合、解約手当金の額は掛金総額(今まで掛け金を積み立てた金額)を下回りますので、任意解約だけはしないようにしましょう!

もしも、共済契約者が死亡した場合

共済契約者が死亡した場合、
遺族が共済金を受給することができます。

共済金を受給できる第一順位者は配偶者。

次に子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・その他の親族の順となります。

小規模企業共済に加入するメリットとデメリット

小規模企業共済に加入するメリット
  • 退職金が掛け金の最大120%給付される
  • 掛け金全額を控除できる(所得控除)
  • 契約者貸付制度がある
  • 掛金を自由に設定できる

退職金が掛け金の最大120%給付される

小規模企業共済は、毎月掛け金を積み立てることで事業の廃業時など、退職金として受け取れます。また、15年掛け金を積み立てると116%、20年掛け金を積み立てると120%が戻ってきます。老後資金の蓄えとして長期的な運用が大事になってきます。経営状況を合わせて無理なく毎月積み立てられる金額を設定しましょう。

掛け金全額を控除できる(所得控除)

毎月積み立てる掛金は、確定申告時に「小規模企業共済等掛金控除」として全額所得控除の対象となる。

契約者貸付制度がある

小規模企業共済では、積み立てた掛金の範囲内で、『一般貸付』『傷病災害時貸付』『緊急経営安定貸付』『福祉対応貸付』『創業転業時・新規事業展開等貸付』『事業承継貸付』『廃業準備貸付』といった融資制度がある。一般貸付制度の場合、掛金の範囲内(掛金納付月数によっては掛金の7割から9割)で10万円~2,000万円の資金を金利1.5%で借入れすることができます。

掛金を自由に設定できる

小規模企業共済では、毎月の掛け金が1,000円~70,000円までの範囲内で、500円単位で設定することができます。毎月無理なく毎月積み立てられる金額を設定し、経営状況を見ながら掛金を自由に変更することができます。

小規模企業共済に加入するデメリット
  • 元本割れをするリスクがある
  • 1年以内は掛捨となる

元本割れをするリスクがある

掛け金の納付期間が20年未満で任意解約をしてしまうと、元本割れになってしまいます。「節税」と「退職金」として小規模企業共済に加入し毎月積立てていたとしても「任意解約」をすることで損をしてしまう可能性があるので注意しましょう。

1年以内は掛捨となる

納付期間が1年未満の場合、任意解約時に受け取ることができる解約手当金を受け取ることが出来きません。
長期的に掛金を積み立てる前提として加入することが大事です。

小規模企業共済加入の手続きをするには?

必要書類

個人事業主の場合
  • 確定申告書の控えが必要となります。事業を始めたばかりで『確定申告書』がない場合は『開業届』の控えでも構いません。
法人の役員の場合
  • 履歴事項全部証明書(商業・法人登記簿謄本)など、交付後3か月以内の原本が必要になります。
共同経営者の場合
  • 「個人事業主の確定申告書の控え」及び「共同経営契約書の写し」など、事業を始めたばかりで『確定申告書』がない場合は『開業届』の控えでも構いません。

契約申込書」と「預金口座振替申出書」の書類の記入する

中小機構のホームページから、
「契約申込書」と「預金口座振替申出書」を取得できます。
また、郵送での資料請求も可能です。

出典:小規模企業共済(中小機構)

窓口へ提出する

小規模企業共済への加入手続きは、
中小機構が業務委託契約を結んでいる団体または金融機関の窓口で提出します。

加入窓口
委託団体商工会、商工会議所、中小企業団体中央会、事業協同組合、青色申告会
損害保険ジャパン株式会社、アクサ生命保険株式会社
代理店都市銀行、信託銀行、地方銀行、第二地方銀行、信用金庫、信用組合
商工組合中央金庫、農業協同組合(34都道府県)
出典:加入窓口|小規模企業共済(中小機構)

中小機構からの書類の受け取る

お申込日から約40日後、
中小機構から『小規模企業共済手帳』と
『小規模企業共済制度加入者のしおり及び約款』をお送られてきます。

審査の結果、加入資格に該当せず加入できない場合は、
約2か月後に中小機構からその旨を通知書類が送られてきます。

まとめ

個人事業主・小規模事業者は節税しながら退職金が積み立てられます
  • 個人事業主や中小企業の経営者は、節税をしながら、将来のことを見据え、退職金の積立が必要です。
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