個人で起業したばかりの方にとって「青色申告」は、税金を抑えるために欠かせない制度です。正しく理解しておくことで、初年度から節税をすることができます。

「青色申告承認申請書って、そもそも何のために出すの?」
「どこで手に入れて、どう書けばいいの?」
このように、青色申告について悩みをお持ちではないでしょうか。
本記事で、青色申告の基礎知識から具体的な書き方、提出方法までをわかりやすく解説します。
読み終える頃には、青色申告書類をスムーズに作成できるようになり、初年度からしっかりと節税効果を得られるはずです。
青色申告とは
青色申告とは、個人事業主が税金の負担を軽減できる制度です。
最大65万円の控除
赤字を最長3年間繰り越し
家族への給与を経費にできる(青色事業専従者給与)
30万円未満の資産を一括経費に(少額減価償却資産の特例)
青色申告と白色申告の比較表
青色申告と白色申告の違いは、控除額や帳簿の要件、手続きの簡易さなどにあります。
| 項目 | 青色申告 | 白色申告 |
| 控除額 | 最大65万円(簡易簿記は10万円) | なし |
| 帳簿 | 複式簿記または簡易簿記 | 簡単な収支内訳書 |
| 帳簿保存期間 | 7年間 | 5年間 |
| 赤字繰越 | 可能(3年間) | 不可 |
| 家族への給与 | 経費計上可 | 不可 |
| 申請 | 必要(申請書提出) | 不要 |
| 作業の手間 | 帳簿作成や管理が 必要で手間がかかる | 簡易で手間が少ない |
| 節税効果 | 高い | 低い |
| おすすめの人 | 節税したい人 | 収入が少ない人 |

節税を意識するなら、青色申告一択です。
青色申告書の入手方法
青色申告書(正式名称:青色申告承認申請書)は、以下の方法で入手できます。
① 国税庁のホームページからダウンロード
ご自宅のプリンターで印刷可能。
手書き用とパソコンで直接入力できるPDFの両方があります。
▶︎ 国税庁:青色申告承認申請書
② 最寄りの税務署で直接受け取る
窓口で「青色申告承認申請書の用紙をください」と伝えれば無料でもらえます。
書き方が分からなければ、その場で質問できるのがメリットです。
▶︎ お近くの税務署
③ 会計ソフトや開業支援サービスを利用する
マネーフォワードなどのクラウド会計を活用すれば、
質問に答えていくだけで、青色申告承認申請書を自動で作成できます。
青色申告の入手方法と書き方

納税地・上記以外の住所地・事業所等
「住所地」「居所地」「事業所等」のいずれかを選び、納税地として記入します。
連絡先は、固定電話または携帯電話の番号を記入します。
- 住所地|自宅で生活している場所
- 居所地|海外在住で日本に住所がないが、日本で活動している場合の拠点
- 事業所等|店舗やオフィスなど、事業を営む場所
上記以外の住所地・事業所等
- 納税地を自宅にしたいが、事業所もある場合
納税地欄に「自宅住所」、上記以外欄に「事業所住所」を記入。 - 納税地を事業所にしたい場合
納税地欄に「事業所住所」、上記以外欄に「自宅住所」を記入。 - 自宅と事務所が同じ場合
「上記以外」欄は空白でOK。
氏名・生年月日
氏名(苗字と名前)と生年月日を必ず記入する。
職業
- 農業・林業
米作農業、野菜作農業、酪農業、養鶏業、園芸サービス業、育林業など - 漁業
底びき網漁業、魚類養殖業、貝類養殖業など - 建設業
造園工事業、内装工事業、ガラス工事業、一般電気工事業、電気通信工事業など - 情報通信業
受託開発ソフトウェア業、情報処理サービス業、ポータルサイト・サーバ運営業など - 卸売業・小売業
婦人服小売業、酒小売業、中古自動車小売業、無店舗小売業など - 不動産業・物品賃貸業
不動産代理兼・仲介業、貸事務所業、貸家業、駐車場業など - 学術研究・専門・技術サービス業
法律事務所、行政書士事務所、税理士事務所、デザイン業、著述家業、翻訳業、獣医業など - 宿泊業・飲食サービス業
旅館、ホテル、日本料理店、ラーメン店、そば・うどん店、喫茶店など - 生活関連サービス業・娯楽業
普通洗濯業、美容業、エステティック業など - 医療・福祉
歯科診療所、あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師・柔道整復師の施術所、など - サービス業
自動車一般整備業、時計修理業など
屋号
屋号とは、個人事業主が事業で使用する名前です。
店舗を開業する場合:店舗名
事務所を設立する場合:事務所名
注意点:屋号の記入は任意のため、空欄でも問題ありません。
年度
開業届を提出する際に、開業した年を記入する。
事業所又は所得の基因となる資産の名称及びその所在地
名称は「本店」と記載するのが一般的ですが、
店舗を経営する場合は店舗名を記載しても問題ありません。
所得の種類
「事業所得」にチェックを入れます。
また、「不動産賃貸業」の場合は、不動産所得を選択する。
いままでに青色申告承認の取消しを受けたこと
又は取りやめをしたことの有無
初めて開業される方は、「無」を選択します。
過去に開業を取りやめた経験がある場合は、その日付を確認し記入する。
本年1月16日以後新たに業務を開始した場合、その開始した年月日
開業日が1月16日以降の場合、開業届を提出する際には開業年月日を記入する。
相続による事業承継の有無
初めて開業する方は、「無」を選択します。
相続による事業の承継がある場合は、「有」を選択します。
簿記方式
Freeeなどの会計ソフトを使って、複式簿記による帳簿を作成する方は、
青色申告特別控除として65万円の控除を受けることができます。
備付帳簿名
青色申告に必要な最低限の帳簿は、「総勘定元帳」と「仕訳帳」です。
これらは「主要簿」と呼ばれ、複式簿記で65万円の青色申告特別控除を
受けるために必要です。必ずこれら2つを選択して用意しておきましょう。

10万円の青色申告特別控除の場合は、簡易帳簿で十分です。
青色申告書の提出先・提出方法
青色申告書は、事業所の所在地を所轄する税務署に提出します。
税務署の窓口で直接提出
手順
① 必要書類(開業届、本人確認書類、マイナンバー関連書類など)を準備
②納税地を管轄する税務署へ持参
③受付で内容を確認してもらい、提出する
郵送で提出
手順
①記入済みの青色申告書(提出用と控え)を準備
②封筒に入れ、所轄の税務署宛てに送付
③控えが必要な場合は「切手を貼った返信用封筒」も同封
④郵送は期限内消印有効
e-Tax(オンライン提出)
節税メリット(青色申告特別控除65万円)を最大限活用するならおすすめ。
スマホ版(マイナポータル連携)手順
①「国税庁 確定申告書作成コーナー」にアクセス
②マイナンバーカード方式を選択
③スマホでマイナンバーカードを読み取り
④画面の指示に従い、収入・経費・控除などを入力
⑤電子送信して完了(控えはPDFで保存可能)
パソコン版手順
①「国税庁 確定申告書作成コーナー」にアクセス
②マイナンバーカード+ICカードリーダー、またはID・パスワード方式でログイン
③会計ソフトや手入力で作成したデータを反映
④内容を確認して送信
⑤受付結果を保存(控えとしてPDF出力も可能)
まとめ
青色申告は、個人事業主にとって節税効果が非常に大きい制度です。
最大65万円の控除、赤字の繰越、家族への給与計上など、
白色申告にはないメリットがあります。
ただし、その分帳簿付けや申請書の提出といった手間が増えるため、
早めに準備を進めることが重要です。
申請書は国税庁HPからダウンロードできるほか、税務署や会計ソフトでも入手可能です。
提出方法も窓口・郵送・e-Taxと複数あり、自分に合った方法を選べます。
この記事を参考に、正しく青色申告の準備を進め、
初年度からしっかりと節税効果を得ていきましょう。
よくある質問
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